日時: 2007年2月24日(土曜日) 午後3時〜午後5時
会場: 東京都台東区生涯学習センター 5階
504号教育研修室
講演: 「多言語の世界をひらく
〜世代を超えて同じを見つける〜」
講師: 言語交流研究所(ヒッポファミリークラブ)研究員
小宮幸恵(こみやゆきえ)氏
参加者: 32名
3時定刻に司会のザックスさんより、開会が宣言され、自己紹介の後、あんみつ姫会長より、開会のことば、ザックスさんより講師紹介があった後、講演に入った。
1. スライドによる言語研究所の活動の紹介
どんな国のことばで どの国の人とでも
子供から大人まで いろんな世代が 一緒に
なぜ、たくさんの言葉が 同時に身につくのか
そこから、どんな世界が広がっていくのか
知っているようで知らなかった
「ことばの世界」を一緒にのぞいてみませんか
海外へのHomestay交流は約300国と地域
青少年交流は小学校5年生から:韓国、アメリカ、台湾、ロシア、カナダ、メキシコなど
公立高校の交換留学のプログラム:フランス、ドイツ、アメリカ、ブラジル、メキシコ、スペインなど
家族交流はどんな世代でも:子供と一緒に、社会人、お父さんたちも、
「外国語」ではなく、どんなことばも人間のことばとして
2. 幼児を含むヒッポファミリークラブの仲間たちによる多言語使用の実演
三石美和さん(ヒッポファミリークラブ研究員)のイントロ
多言語を練習」するのではなく、生まれたばかりの赤ちゃんも含めて、「言葉で遊ぶ」ことで、自然に多くの言葉を身につけてしまう。
ヒッポファミリークラブ会員の仲間たち(大人3人とその子供4人)による日頃の活動の披露
韓国語で家族紹介、
シア語で自己紹介、ロシア国の紹介(小学生女子)
シア語でおしゃべり(幼女、全員)
その後は私が聞き取れた言葉だけでも中国語、フランス語、イタリア語など数ヶ国語あり、全くチンプンカンプンのものは何ヶ国語話されたか不明。
1.「言葉」
言葉は人間の体内から「自然」に発せられるもの。「環境」との繋がりも強い。
環境:人間はたまたま生まれあわせた国(環境)の言葉を話す。
単言語:たまたま生まれた国が大国(アメリカ、ロシア、フランス、ドイツ等)
の場合、単言語となる。(世界人口の30%が単言語)
二言語:カナダ、オランダなど(世界人口の8%が二言語)
多言語:世界人口の62%。
2.「多言語」
私たちはたまたま日本に生まれ、日本は単言語なので単言語が普通と思っているが、単言語は少数派。むしろ、世界の多くの人は多言語を話している。
自然は、多言語を話すことの可能性を示している。
多言語圏の人は、初めての国の言葉を身につけるのが上手い。
二国語は「対立」の傾向が見られ、自分の得意な言語に拘る傾向にある。
(例:英語か、フランス語か二者択一)
「対立」ではなく「相対」の関係にしたほうがよい。
(例:どちらかと言えば英語)
3.「言葉の習得」
話せるようになってから話すのではなく、言葉で「遊び」ながら、言葉を自然に身につける。
「学ぶ」は「真似る」から来ている。言葉で遊びながら「真似て」覚える。
赤ちゃんは、生まれた直後から親を真似して成長している。
4. 人間の言葉
人は誰でも「うろ覚え」、「思い込み」による間違った言葉や知識で人と話していることがある。しかし、その人の表情、仕草でその人の言いたいことを理解することができる。
言葉と言葉をキャッチ・ボールしながらできていくのが「言葉」である。
とくに、母国語の異なる人と人との交流は、「言葉」そのものの理解ではなく相手が伝えたい真意を受止めること大切である。
5.「認識」
人は物事を認識する時、日常生活の中で、外部からの「圧力」を受けながら、物事を認識している。
視覚(光の波)
音声(音波)
嗅覚
温度(感覚)
味覚
波の影響を受けながら、物事を認識する。
人が物事を認識する時、「大まか」な情報から認識する。
細かい情報、漏れた情報は、人とのコミュニケーションで補足していく。
文法など関係なく、日常生活の会話の中で相手を理解する会話が大切である。
人間は、同じ「言葉」「文字」に出遭っても、その場に適した「意味」で「認識」する能力を持っている。
6.言葉は「リズム」
どこの国の言葉にもその言葉特有のリズムがある。このリズムに乗ることが大切。
7.言葉の始まり「赤ちゃんの産声」
実際に赤ちゃんの泣声の録音が披露されたが、これは、この講演会の最大の「講演」。(小宮先生の娘さんの実録)
数日おきに、赤ちゃんの泣声が、環境によって変っていく。
産声は「オギャー」ではなく、「ンがー」(吼えるような声)。(「ファー」の場合もある)
1ヶ月半後の泣声「アー」が出てくる。母親の言葉を真似している。
更に2週間後:「ウ」「エ」が出てくる。母親が「あやす」イントネーションになっている。(母音から覚えていく)
言葉の意味も、文法も分からない赤ちゃんが、自分の意思をしっかりと母親の伝えようとしている。
赤ちゃんが9ヶ月の時、フランスに滞在した。そして、フランスの家庭に赤ちゃんを預けた。
預けた日の泣声:日本にいる時と同じ(日本語で泣いている)
「エーン」
隣で、フランス人の5歳の女の子がしきりに赤ちゃんにフランス語で話しかけている。
1週間後、赤ちゃんはフランス語で泣いていた。
(日本語は「地を這うような声」だが、フランス語は、頭の後ろを抜けるような声)
赤ちゃんを抱いていると、赤ちゃんは、母親の唇に小さな手をもってくる。
唇の動きを指の振動で身体全体に受止めている。
フランスの母親に抱かれた時は、額に手をもってきたとのこと。
赤ちゃんは、「フランス人は額から声を出している」と思ったのでしょう。
どこから声が出ているのか、確かめようとしている。
何も分からないと思っている赤ちゃんは、日々、自分が置かれた環境で一所懸命に「人間の言葉」を覚えようとしている。
赤ちゃんは、自分が生きるために、「お腹がすいた」、「眠たい」「オシッコがしたい」などの「言葉」を、泣声の中で訴え、母親も赤ちゃんの「意思」を受止めることができる。
8. 言葉の本質
大人は「どこどこの国の人と交流したい、そのために、その国の言葉を勉強する」
のパターンが多いが、子供たちは、とにかく相手と接することで仲良くなり、自然に相手国の言葉を身につける。
人間は生きるために「言葉」を生み出した。
9. 本当になすべきこと(特に教育面で)
今、精一杯でやっていることを褒めてあげる。
できない時、手を差伸べてあげる。
小宮さんは、乗りに乗ってお話になったが、時間がオーバーし、司会のザックスさんに、「時間ですから」と「まとめ」を催促されて、講演を終った。
質疑応答の後、KAMEさんから、謝辞と閉会の言葉があり、無事講演会を終った。
懇親会はいつもの中華料理店で行われ、かくし芸なども披露され盛上った。
以上(記録 多摩のけん 写真提供:KAMEさん)